は・ハ・歯の博士の四方山話
人生色々ありまして、子どもの歯医者になって30年。 話したい事、残しておかなければいけない事、思うがままに自己表現できる環境に、やっとこさっとこなりました
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切歯扼腕 (せっしやくわん)
 近頃、街を歩く若者達の服装から感じられることは、
締りがないと感じられる向きもおありでしょうが、
それはファッションの世界つまりハヤリであります。
私たち年齢の者にとっては、だらしなく汚く見えるのですが、
「凛」としていないのがハヤリということになります。また、
しゃべり言葉がやたらとだらしなく締りがないのは、
日本語の乱れから生じた教育的問題とみなす方が妥当なのでしょうが、
TV画面の人気アイドル達は、当然のように「タメ語」で語り合い、
年の差を感じさせないことがカッコイイようです。
ことほどさように、「凛々しい」とか「凛として」などは
死語同様に扱われている次第であります。

 若者の表情を見ますと、「口に問題あり」なのでして、
ここいらから私の専門となる口の話になるわけですが、
皆さん服装や言葉と同様に口元に締りがない子ども達が
増えていることをご存知でしょうか? 
真一文字に口を閉じ、「凛」とした子が少ないのです。つまり、
若者の口がいつもほんの少々開いているのであります。
ひどい子になりますと、テレビなどに夢中になると、
ポカンと大口を開けているわけで、脳の配線がどこかで違っているのかと
疑いたくなるような光景に瞠目することになるわけです。
人気アイドルのように、にこやかに微笑んで、
上唇と下唇がほんの少し口が開いて、
白い歯がキラリと光っていると言うわけではないのです。
本当に間が抜けている感じの口の開き方でして、
地下鉄の車内で若い娘をシゲシゲと観察してみてください。
オット!あまりジロジロ見ると痴漢と間違われますので、
ご用心、ご用心、お気をつけ下さい。
日常生活での立ち振る舞いや仕草には、
親も子もいたって恬淡(てんたん)でして、多くのこだわりを持つことを
互いに避ける傾向にあるようです。
「口を閉じて鼻で息をする」私たち年齢層には当たり前なことなのでしょうが、
それができていない子が多いのです。
親が注意をすると、「風邪ひいてる」とか「苦しい」とか
「ゴハンが美味しくない」などの遁辞(とんじ)が発せられれば、
親は諦めることになります。
とにかくこだわらないのが家族融合の秘訣のように。

 私たちでも風邪で鼻詰まりの時など、
食事の味気なさマズさは例えようがありません。
そんな食事をしていることを考えると、
鼻で呼吸できない子は可愛そうです。
美味しいはずの物も美味しく食べていないのですから。
しかも、食する時などにペチャペチャ音をたてたり、
食塊をうまく飲み込めないので、食事の時間が異常に長くなるわけです。
あるいは「サ」行「タ」行の発音が怪しい。
舌っ足らずなしゃべり方をする。開いた口を見てみると、
歯と歯の間に舌が位置している。などなどのだらしなさが見られますが、
意外と家族にはわかっていません。
お孫さんと楽しく食事をしている時に注意するのは、
年寄りが嫌われる所以ですので、お勧めできませんが、是非とも観察してみてください。

「凛」とした生活習慣を体得するには、鍛錬しなければなりません。
普通のことが当たり前のようにできないなどと嘯(うそぶ)いていると、
親や家族に注意を受ける。
急場しのぎで上手に振舞ってもまた悪い癖がでる。
そうして同じような注意を受ける。すると悔しさも増幅し、
切歯扼腕しながらも身に付けていく。
歯軋りするほどに口惜しがり、
腕まくりして悔しがる。

そんな体験は子どもの頃には必要不可欠な鍛錬ですが、
現代社会ではどうでしょうか?

とまあ、私の愚痴みたいなものでしょうか!
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